免責

記載されている情報は執筆時点のものであり、最新情報は各ツールの公式サイトでご確認ください。

はじめに

不動産業界では、長年にわたって積み重ねられてきた独自の商習慣が、営業効率化の大きな障壁となっています。紙ベースでの情報管理、営業活動の属人化、顧客データの分散管理といった課題は、業界全体の生産性向上を阻んでいるのが現状です。

独立行政法人情報処理推進機構（IPA）が2024年に発表した「DX動向2024」によれば、金融業（97.2%）や製造業（77.0%）が高い取り組み率を示す一方で、不動産業界を含むサービス業全体のDX化の取り組みは60.1%にとどまっており、他業界と比較して出遅れが目立っています。

IRA（独立行政法人情報推進処理機構）「DX動向2024」　図表　DXの取組状況（業種別）より抜粋

（出典：IPA「DX動向2024」）
（URL：https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html）

特に導入が推進できていない中小規模（100人規模）の企業では、「DXに取り組むための知識や情報が不足している」（59.0%）、「自社がDXに取り組むメリットがわからない」（43.6%）といった課題が顕著です。

（出典：IPA「DX動向2024」）
（URL：https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2024.html）

一方で、業界の変化に敏感な経営層や営業DX推進者の間では、顧客管理ツールの導入による営業改革への関心が高まっています。株式会社スペースリーがPRTIMESに公開した「不動産業界のDX推進状況調査 2024」によると、DX推進の目的は「業務効率化」が最も多く91.9%となっており、企業の営業管理ツール決済者にとって、投資対効果の明確な顧客管理ツールは注目すべき選択肢となっています。

引用：PRTIMES【不動産業界のDX推進状況調査 2024】　　　不動産テック企業7社・不動産メディア共同企画「DX推進すべき」が99%で過去最高！　　　 75%以上の企業がDXによる効果を実感　の　図表「DX推進の目的」より抜粋

（出典：株式会社スペースリー「不動産業界のDX推進状況調査 2024」）
（URL（PRTIMES）：https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000031809.html）

この記事では、CRM導入検討層や顧客管理ツール導入検討層の皆様に、まずは無料で利用できる顧客管理ツール7選を比較紹介し、不動産営業における営業DXのスタートに最適な選び方を解説します。顧客管理ツールで実現できる反響営業での迅速な初回対応や追客プロセスの標準化を実現する具体的な方法を、ITに詳しくない方にも分かりやすくお伝えします。

SFAとCRMを兼ね備えた国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」
SFAとCRMを兼ね備えた、定着率99% 国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」

顧客管理ツールとは

顧客管理ツールとは、企業が顧客情報を一元管理するためのシステムです。顧客の氏名や連絡先といった基本情報に加え、物件への問い合わせ履歴や内覧記録などの詳細な情報を記録・管理することで、顧客一人ひとりに合わせた最適なサービスやアプローチを実現できます。

不動産営業においては、例えば顧客の予算や希望条件に基づいて自動的に新着物件情報を送信したり、過去の内覧履歴に基づいて類似物件を提案したりする仕組みづくりが可能です。

また、顧客の対応履歴も一元管理できるため、担当者が変わっても一貫したサポートを提供しやすいのもポイントです。顧客との良好な関係性を構築し、成約率向上を実現できるメリットから、近年多くの不動産企業で顧客管理システムの導入が進められています。

不動産営業で顧客管理ツールが必要な理由

不動産業界の営業現場では、長年にわたって蓄積された課題が営業効率化の大きな障壁となっています。一般的に不動産営業には以下のような業界特有の厳しさが存在します：

見込み客や優良物件を探すには経験が必要: 高額な不動産を購入できる人は限られるため、見込み客を探すのは簡単ではありません。また不動産売買仲介の場合は、買い手が付く優良物件を探すことも難しい仕事になります。いずれも地場の不動産業者や地主、物件オーナーとの関係を深めることで情報を得やすくなるため、信頼関係を構築できるだけの経験が必要になります。
営業活動の属人化による情報の分散: 優良物件の発掘や見込み客の獲得には個々の営業担当者の経験やスキルに依存する部分が大きく、ノウハウの共有や標準化が困難な状況です。営業チームにとって、この属人化は組織全体の生産性向上を阻む最大の要因となっています。

不動産営業では、反響営業（問い合わせを受けてからの営業活動）における初回対応のスピードが成約率を大きく左右します。顧客管理ツールを活用することで、以下のような効果が期待できます：

問い合わせ情報の即座な共有: 営業チーム全体で顧客情報をリアルタイムに把握
過去の対応履歴の確認: 同じ顧客からの再問い合わせに対する一貫した対応
最適な担当者の自動アサイン: 顧客の希望エリアや物件タイプに応じた担当者振り分け

不動産営業において、追客（継続的なフォローアップ）は成約に至る重要なプロセスです。しかし、従来の方法では：

フォローのタイミングが担当者任せ: 経験豊富な営業担当者とそうでない担当者で成果に大きな差
顧客の検討状況が見えない: どの段階でどのようなアプローチが効果的かが不明確
チーム内での情報共有不足: 担当者変更時の引き継ぎで重要な情報が漏れる

無料版vs有料版：知るべき違い

顧客管理ツールには無料版と有料版があり、それぞれに明確な違いが存在します。営業管理ツールの導入を決定する立場の方が適切な判断を下すためには、以下の5つの観点から比較検討することが重要です。

機能範囲の違い: 無料の顧客管理ツールは、基本的な機能として「顧客情報の登録・管理」「連絡履歴の記録」などに限定されているシステムが大半です。一方、有料版には「営業支援機能（SFA）」「マーケティングオートメーション（MA）機能」など、より高度な機能が搭載されています。

不動産営業の現場では、物件情報と顧客の希望条件をマッチングする機能や、追客タイミングの自動化機能が成約率向上に直結します。無料版では、こうした業界特有のニーズに対応した機能が制限される場合が多いのが実情です。
データ容量と利用者数の制限: クラウド版で提供される無料プランでは、データ容量や利用者数に制限があるケースが一般的です。例えば、保存できる顧客情報の数や、同時に利用できるユーザー数が制限されており、訪問営業企業の営業チーム全体での活用には限界があります。

有料版であれば、こうした制限が大幅に緩和され、部署全体での本格的な運用が可能になります。
セキュリティ機能の差異: 不動産営業では、顧客の個人情報や資産情報など、機密性の高いデータを扱います。無料版ではセキュリティ機能が限定的で、「ユーザーごとの権限制御」「不正アクセス防止機能」「データ暗号化機能」などが十分でない場合があります。

有料版では、より高度なセキュリティ対策が施されており、顧客情報の漏洩リスクを最小限に抑えることができます。
サポート体制の手厚さ: 無料版では、基本的に手厚いカスタマーサポートは期待できません。導入前後のサポートは有料プランに含まれている製品が多く、ITリソースに不安がある顧客管理ツール導入検討層にとっては大きな課題となります。

特に、海外製のツールでは日本語サポートが限定的な場合もあり、操作方法の習得や問題解決に時間がかかる可能性があります。
広告表示による業務への影響: 無料版では、画面上に広告が表示される場合があります。顧客との商談中や重要な作業中に広告が表示されると、プロフェッショナルな印象を損なう可能性があり、不動産営業のような信頼関係が重要な業界では致命的な問題となりかねません。

顧客管理ツールの導入により、これらの課題を解決し、経営層や営業DX推進者が目指す組織全体の営業力向上を実現できます。具体的には、顧客の検討段階に応じた自動フォローアップの設定や、成約に至った案件の分析による成功パターンの標準化が可能になります。

失敗しない選び方：5つのチェックポイント

不動産営業における顧客管理ツールは、コストを抑えながら営業効率化を始めたい企業にとって魅力的な選択肢です。しかし、数多くの無料ツールの中から自社に最適な製品を選ぶのは容易ではありません。適切な判断を下すために、以下の5つのポイントを重視して選定することをおすすめします。

1. 不動産営業に必要な基本機能の見極め

不動産営業では、「顧客情報の登録・管理」「物件マッチング機能」「追客スケジュール管理」など、業界特有の機能が充実しているかを確認することが重要です。

不動産業界での活用シーン例：

反響営業での迅速な初回対応: 不動産ホームページからの限られた反響を確実に成約につなげるため、問い合わせから24時間以内の初回コンタクトが成約率を大きく左右します。
追客プロセスの標準化: 一般的に「一番の理想は、追客不要の営業」とされており、「追客は、あくまでも契約率を高めるために行う補助的なもの」です。しかし現実的には、顧客の要望と予算が合わないケースが多く、条件に優先順位をつける作業や継続的なフォローアップが必要になります。
営業代行サービスとの連携管理: 営業DX化の一環として、テレアポや飛び込み営業などの初期営業活動を外部の営業代行サービスに委託する企業が増えています。こうした代行サービスから得られるリード情報を効率的に管理し、社内営業チームへの引き継ぎを円滑に行うためには、SFAやCRMによる一元管理が最適です。

無料版では、これらの業界特化機能や外部サービス連携機能が制限される場合が多いため、実際に試用して自社の営業プロセスに適合するかを確認することが大切です。

2. 操作性とカスタマイズ性のバランス

不動産営業の現場では、ITに詳しくない営業担当者でも直感的に操作できるインターフェースが求められます。例えば、不動産営業には「キーマンを見極める力」「印象管理と信頼関係構築」といったスキルが重要であり、システム操作に時間を取られることで本来の営業活動に支障をきたしてはなりません。

不動産業界での活用シーン例：

土日祝日勤務への対応: 不動産営業は「土日祝日勤務、平日休み」という特殊な働き方のため、システムトラブル時のサポート体制も平日対応のみでは不十分です。無料版では日本語サポートが限定的で、海外製ツールでは時差の関係で即座な問題解決が困難な場合があります。
営業代行サービスとの情報共有: 外部の営業代行サービスを活用する場合、代行業者のスタッフでも簡単に操作できるシンプルなインターフェースが必要です。複雑なカスタマイズが必要な場合、代行サービス側での運用が困難になり、情報の入力漏れや品質低下を招く可能性があります。

3. セキュリティ対策の必須要件

不動産営業では、顧客の個人情報、資産情報、物件情報など、機密性の高いデータを大量に扱います。特に営業代行サービスを利用する場合、外部業者との情報共有が発生するため、より高度なセキュリティ対策が求められます。

不動産業界での活用シーン例：

営業代行サービスとのセキュアな情報共有: 代行業者のスタッフが顧客情報にアクセスする際の権限制御や、業務終了後のデータ削除機能など、外部委託特有のセキュリティ要件への対応

4. データ制限と将来的な拡張性

無料版では、顧客データ数や利用者数に制限があるのが一般的です。不動産営業では、見込み客から既存顧客まで長期間にわたって関係を維持する必要があり、営業代行サービスからの大量リード獲得も想定する必要があります。

不動産業界での活用シーン例：

営業代行サービスからの大量リード管理: テレアポ代行や展示会代行などから月間数百件のリードが発生する場合、無料版のデータ制限では対応できない可能性があります。

5. 同業他社の評判・導入事例と営業代行サービス連携実績

CRM導入検討層にとって、同じ不動産業界での導入実績や、営業代行サービスとの連携成功事例は重要な判断材料となります。

不動産業界での活用シーン例：

営業代行サービス管理の成功事例: テレアポ代行、飛び込み営業代行、展示会運営代行などの外部サービスを効率的に管理し、社内営業チームとの連携を成功させた事例
無料版から有料版への移行タイミング: 営業代行サービスの活用拡大に伴い、より高度な管理機能が必要になった際の移行事例

ただし、無料版では十分なサポート体制が期待できず、特に営業代行サービスとの連携設定や運用定着において課題が生じる可能性があることも考慮する必要があります。営業DX化の本格的な推進を検討する際は、SFAやCRMの有料版導入と併せて、営業代行サービスの活用も視野に入れた総合的な戦略立案が重要です。

SFAとCRMを兼ね備えた国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」
SFAとCRMを兼ね備えた、定着率99% 国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」

不動産営業におすすめ無料顧客管理ツール7選

不動産営業の現場では、長期的な顧客関係管理が重要な要素となります。ここでは、無料で利用できる顧客管理の代表的なツール7選をご紹介します。

※本記事で紹介する料金情報や機能は変更される可能性があります。導入前には必ず各ツールの公式サイトで最新情報をご確認ください。

1. フリーウェイ顧客管理

チーム全体での情報共有を実現する国産顧客管理ツール: 顧客情報は、社内で共有してこそ意味があります。フリーウェイ顧客管理は、3人までのデータ共有が無料で可能で、リアルタイムでの情報共有を実現します。土日祝日勤務の不動産営業でも、平日休みの担当者間で顧客情報を効率的に引き継げます。フィールド（項目）を必須入力にしたり、重複できないように設定することで、データの品質管理も可能です。AIチャットサポート（無人）も標準搭載されており、基本的な操作方法はすぐに確認できます。

基本情報

費用: 無料版は3ユーザー、1,000データまで無料、有料版は月額2,980円（税抜）
提供会社: 株式会社フリーウェイジャパン
公式サイト: https://freeway-customer.com/

（出典：フリーウェイ顧客管理「料金プラン」）
（URL：https://freeway-customer.com/plan.html）

不動産営業での具体的な活用メリット

AIサポート: 土日祝日勤務の不動産営業でも、日本語での問い合わせ対応が可能　ただし有人サポートは有償版から
シンプルな操作性: ITに詳しくない営業担当者でも直感的に操作可能

導入時の注意点

システム機能面の制限

モバイル対応なし: スマートフォンやタブレットでの利用ができないため、外出先での物件案内や顧客訪問時にリアルタイムでの情報確認・更新ができません
検索機能の制限: 複数条件検索はAND条件のみでOR条件に対応していないため、「予算3,000万円以上または駅徒歩5分以内」といった柔軟な物件マッチング検索ができません
不動産特化機能の不足: 物件管理、契約管理、仲介手数料計算など不動産業界特有の機能は搭載されておらず、汎用的なデータベースツールとしての利用に留まります

運用面での制約

無料版の容量制限: 1,000データまでの制限があり、物件情報と顧客情報を合わせて管理する場合、中規模以上の不動産会社では早期に有料版への移行が必要になります
営業チーム規模の制限: 無料版は3人までの制限があり、営業担当者が多い不動産会社では全員での情報共有ができません
権限管理の不足: 顧客情報の閲覧・編集権限を細かく設定する機能がないため、営業担当者ごとの担当エリアや顧客の管理が困難です

サポート・連携面の課題

サポート体制の限界: 無料版では操作サポート（有人）が利用できず、AIチャットサポート（無人）のみのため、不動産営業での緊急時対応に不安があります
外部連携の制限: 不動産ポータルサイト（SUUMO、HOME’S等）やレインズとの連携機能がないため、物件情報の一元管理には別途作業が必要です
高度な分析機能の不足: 売上分析、エリア別成約率、顧客セグメント分析など、不動産営業に必要な高度な分析・レポート機能は期待できません

コスト・拡張性の懸念

データ移行時のコスト: 有料版への移行時は月額2,980円（税抜）に加え、ユーザー追加1,000円/月、データ追加1,000円/月のオプション費用が発生する可能性があります
スケーラビリティの課題: データ容量やユーザー数の制限により、事業拡大時には他のCRMシステムへの移行を検討する必要があります
バックアップ・復旧機能の限界: データベースの完全バックアップや特定時点への復旧機能が不明確で、重要な顧客・物件情報の保護に不安があります

2. Fullfree

自社業務にぴったりフィットする完全カスタマイズ型顧客管理システム: Fullfreeは、表の種類も項目も、階層（明細行）も他の表との関連付けも、計算内容も帳票も、すべて自由自在に設定できるWindowsソフトです。既存のCRMでは自社にフィットしなかった企業にも有効で、顧客管理ソフトでありながらデータベースソフトとしても活用できます。エクセル互換の計算式で約100個の関数をサポートし、エクセルの知識がそのまま活かせます。顧客リストと注文履歴などの表をリンクすることで、顧客毎に注文履歴を管理でき、顧客毎のデータは計算式を使って集計も可能です。

基本情報

費用: 無料（フリーソフト）、Fullfree PRO：8,800円（PC1台あたり、買い切り）
提供会社: 株式会社フリースタイル
公式サイト: https://www.fullfree.jp/

（出典：Fullfree「価格・システム要件」）
（URL：https://www.fullfree.jp/free/）

不動産営業での具体的な活用メリット

慣れ親しんだ操作感: エクセルの操作感を維持したプロダクト
CTI連携機能: 「テレアポや飛び込みがメイン」の不動産営業で、顧客情報を即座に表示し、対応品質を向上
帳票作成機能: 契約書類や提案資料の作成業務を効率化

導入時の注意点

システム環境・対応面の制限

モバイル対応なし: スマートフォンやタブレットでの利用ができないため、外出先での物件案内や顧客訪問時にリアルタイムでの情報確認・更新ができません
Windows専用ソフト: macOSには対応しておらず、Windows 7以降のパソコンでのみ利用可能で、クラウドベースではないためブラウザからのアクセスができません
インストール作業が必要: 各PCにソフトウェアのインストールが必要で、IT管理者不在の小規模不動産会社では導入・保守の負担が大きくなります

機能・操作面の課題

学習コストの高さ: 「すべて自由自在」な反面、設定項目が多く、テーブル定義、階層構造、リンク設定など高度な知識が必要で、ITに不慣れな営業担当者には操作が困難です。また、部署移動や退職などで担当者が離れたときに、再度学習コストがかかります。
不動産特化機能の不足: 汎用データベースソフトのため、物件管理、契約管理、仲介手数料計算、レインズ連携など不動産業界特有の機能は搭載されていません
CTI導入の複雑さ: CTIシステムの利用には電話会社とのナンバーディスプレイ契約が必要で、CTI機器の設定や既存電話システムとの連携に専門知識が必要です

運用・管理面の制約

無料版の機能制限: DBあたりのレコード数3,000件、テーブルあたりのフィールド数50列、CTI着信件数月100回、出力テンプレート1種類までの制限があります
データ共有の制約: 無料スペースは最大5台のPC、5,000レコード、月間接続時間200時間の制限があり、中規模以上の不動産会社では有料版への移行が必要です

コスト・拡張性の懸念

有料版の高額化: Fullfree PRO（8,800円/PC）に加え、有料スペース（550～1,320円/月・PC）、オプション（880円/月・PC）など、本格運用時のコストが高額になる可能性があります
外部連携の限界: 不動産ポータルサイト（SUUMO、HOME’S等）との標準連携機能がありません。
サポート体制の不安: メールサポートのみで、土日祝日勤務が多い不動産営業での緊急時対応や、複雑なカスタマイズ時のサポートに限界があります。

3. Stock

チーム全体での情報共有を実現するクラウド型管理ツール: Stockは、チームの情報を最も簡単に残せるクラウド型の情報共有ツールです。システム内にある「ノート」に簡単に情報が記録でき、タスクの登録だけでなくメッセージのやり取りも行えるため、情報が分散せず一元管理できる点が魅力です。ノートの「閲覧」のみを許可し、「編集・削除」を制限する権限を設定でき、「制限メンバー」「1フォルダゲスト」権限で招待することも可能です。すべてのデータは完全に暗号化され、厳格なセキュリティ環境で管理されているため、重要な顧客情報も安心して保存できます。スマートフォンでも利用可能で、外出先からでも情報確認が可能です。

基本情報

費用: 無料版は20ノートまで無料、有料版は月額500円/ユーザーから
提供会社: 株式会社Stock
公式サイト: https://www.stock-app.info/

（出典：Stock「料金プラン」）
（URL：https://www.stock-app.info/pricing.html）

不動産営業での具体的な活用メリット

案件ごとの情報整理: 物件情報、顧客の希望条件、内覧履歴、価格交渉経緯などを一つのノートで管理
リアルタイム情報共有: 「キーマンを見極める力」が必要な家族向け営業で、家族構成や意思決定者の情報をチーム全体で共有

導入時の注意点

無料版の機能制限

ノート数の厳しい制限: 無料版は累計20ノートまでの制限があり、削除しても上限は回復しないため、物件情報と顧客情報を継続的に管理する不動産営業では早期に制限に達する可能性があります。
ストレージ容量の制限: 無料版ではユーザー数に制限が無い中で、ストレージの容量に制限（1GB）があり、物件の写真や図面、契約書類などの大容量ファイルを多数保存する不動産業務では容量不足になりやすいです。
機能制限の影響: フリープランでは一部の高度な機能が利用できず、本格的な顧客管理や営業分析には限界があります。

情報管理面での課題

不動産特化機能の不足: 汎用的な情報共有ツールのため、物件管理、契約管理、仲介手数料計算、レインズ連携など不動産業界特有の機能は搭載されていません。
情報の編集・更新の制約: ノート形式での情報管理は直感的ですが、大量のデータを効率的に編集・更新するには向いておらず、定型的な顧客情報の一括処理が困難です。
検索・分析機能の限界: 高度な検索条件設定や、売上分析、エリア別成約率、顧客セグメント分析など、不動産営業に必要な詳細な分析機能は期待できません。

運用・拡張性の制約

スケーラビリティの課題: 主に100名までの利用を想定しており、大規模な不動産会社や急速に成長する企業では他のシステムへの移行を検討する必要があります。
外部システム連携の限界: 不動産ポータルサイト（SUUMO、HOME’S等）や既存の基幹システムとの連携機能が限定的で、データの二重入力が発生する可能性があります。
権限管理の複雑さ: 「制限メンバー」「1フォルダゲスト」などの権限設定はあるものの、営業担当者ごとの担当エリアや顧客の細かな管理には不向きです。

コスト・サポート面の懸念

段階的なコスト増加: 無料版から有料版（月額500円/ユーザー）への移行時、全ユーザーが有料プランに移行する必要があり、チーム規模によってはコストが急激に増加します
カスタマイズの限界: シンプルさを重視した設計のため、不動産業務特有のワークフローに合わせたカスタマイズは困難で、業務プロセスをツールに合わせる必要があります。
サポート体制の制約: 無料版ではカスタマーチームの緊急時の優先サポートや、専任のサポートチームによる対応が無いため、業界特有の課題への対応には限界があります。

4. Zoho CRM

フルカスタマイズ可能な次世代CRM/SFAプラットフォーム: Zoho CRMは、CRMのデザインを自分で丸ごとカスタマイズできるCRM/SFAツールです。ノーコード・ローコードを採用し、ドラッグ&ドロップ操作で貴社にあったCRMにカスタマイズでき、運用後に発生したカスタマイズのニーズにも自分でサッと対応できます。まるでキャンバスに絵を描くかのように自由自在にCRMをカスタマイズでき、お好みのプログラミング言語を使用して処理をカスタマイズすることも可能です。簡単にカスタマイズできるだけでなく、デザインを含めたフルカスタマイズも実現し、自社ビジネスに応じた営業プロセスの定義と営業担当者による記録で商談状況の可視化を実現します。

不動産業界向け拡張オプション：Zoho SalesIQ連携: 不動産業界では、Zoho CRMの有料版（スタンダードプラン以上）と連携できる有料オプションのZoho SalesIQ（月額840円～2,640円/オペレーター）により、Webサイト訪問者とのリアルタイムチャット機能を活用できます。物件への問い合わせ対応、内覧予約の自動化、チャットボットによる物件提案など、不動産特有のニーズに対応。リードスコアリング機能でサイト滞在時間やアクセスページを分析し、有望な見込み客を特定できます。ただし、CRM有料版とSalesIQ料金の両方が必要となるため、月額コストは最低でも2,520円/ユーザーからとなります。

基本情報

費用: 無料版は3ユーザーまで無料、有料版は月額1,680円/ユーザーから
提供会社: Zoho Corporation
公式サイト: https://www.zoho.com/jp/crm/

不動産営業での具体的な活用メリット

見込み客情報の詳細管理: 企業名・担当者名・住所・メールアドレス・電話番号などの基本情報に加え、予算・希望エリア・家族構成などの不動産特有の条件も登録可能
営業プロセスの標準化: 「顧客の要望と予算が合わないケースが多い」という業界課題に対し、条件の優先順位付けや妥協点の整理プロセスを標準化

導入時の注意点

料金・コスト面の課題

無料版の制限: 無料版は3ユーザーまでの制限があり、営業チーム全体での利用には早期に有料版（月額1,680円/ユーザー～）への移行が必要になります
段階的なコスト増加: スタンダード（1,680円）→プロフェッショナル（2,760円）→エンタープライズ（4,800円）→アルティメット（6,240円）と、高度な機能を利用するには高額なプランが必要です

機能・カスタマイズ面の制約

過度なカスタマイズの複雑さ: 「自由自在にカスタマイズ」できる反面、設定が複雑になりすぎて、ITに不慣れな不動産営業担当者には操作が困難になる可能性があります。結果、属人化を招くリスクがあります。
不動産特化機能の不足: 汎用CRMのため、物件管理、契約管理、仲介手数料計算、レインズ連携など不動産業界特有の機能は標準搭載されていません。API知識やプログラミングスキルが必要な場合があります。

運用・管理面の制限

学習コストの高さ: 豊富な機能を持つ反面、AI機能、ワークフロー設定、ブループリント、テリトリー管理など高度な機能の習得に時間がかかります
データ移行の複雑さ: 他社CRM/SFAツールからのデータ移行は可能ですが、移行後の運用方法によってはスムーズに行えない場合があります
プラン選択の難しさ: 4つの有償プランそれぞれで利用できる機能が大きく異なるため、適切なプラン選択に専門知識が必要です。

サポート・連携面の懸念

無料プランのサポート制限: 無料プランでは日本語サポート窓口が利用できず、有料プラン（スタンダード以上）でのみサポートが提供されます。また、解決にはコミュニティで質問などを行ったり過去の履歴を確認するなど調査、理解して対応する必要があります。
外部システム連携の技術的ハードル: Zoho Marketplaceでの機能拡張や他ツールとの連携には、API知識やプログラミングスキルが必要な場合があります
支払い方法の制限: 基本的にクレジットカード決済のみで、請求書払いや銀行振込などの支払い方法は別途相談が必要です。

5. HubSpot CRM

2ユーザーまで永久無料で利用できる高機能CRM/SFAツール: HubSpot CRMは、2ユーザーまで永久無料で利用できる高機能な顧客管理システムです。無料版でもコンタクト管理、取引管理、ミーティング設定、Eメールテンプレート、ドキュメント管理など、営業活動に必要な基本機能が充実しており、クレジットカード情報の登録も不要です。世界135か国以上で25万8,000社を超える企業が利用する実績豊富なプラットフォームで、NTTデータ、RICOH、読売新聞グループ、学研など日本の大手企業でも導入されています。AI搭載のカスタマープラットフォームとして、マーケティング、営業、カスタマーサービス向けのソフトウェアが統合されており、単体でも組み合わせでも大きなメリットを発揮します。

基本情報

費用: 無料版は2ユーザーまで無料、有料版は月額1,800円/シートから
提供会社: HubSpot Inc.
公式サイト: https://www.hubspot.jp/

（出典：HubSpot「無料ツール」）
（URL：https://www.hubspot.jp/pricing/crm）

不動産営業での具体的な活用メリット

営業成果の可視化: 「扱う金額が大きく競合も多い」環境で、担当者別のパフォーマンスを数値化し、改善点を明確化
リード管理の効率化: 外部から得られるリード情報を効率的に管理し、社内営業チームへスムーズに引き継ぎ

不動産業界での導入時の注意点

無料版の機能制限

ユーザー数の制限: 無料版は2ユーザーまでの制限があり、営業チーム全体での利用には早期に有料版（月額1,800円/シート～）への移行が必要になります
マーケティングコンタクトの制限: Starterプランでも1,000件のマーケティングコンタクトまでの制限があり、大量の見込み客を管理する不動産営業では上位プランが必要になります

不動産業界特化機能の不足

業界特有機能の欠如: 物件管理、契約管理、仲介手数料計算、レインズ連携など不動産業界特有の機能は標準搭載されていません
日本の商慣習への対応不足: 重要事項説明、手付金管理、媒介契約管理等の日本の不動産取引特有の商慣習への対応が限定的です
外部システム連携の制約: 不動産ポータルサイト（SUUMO、HOME’S、アットホーム等）との標準連携機能がなく、API連携には技術的な知識が必要です
物件情報管理の限界: 間取り図、物件写真、設備情報などの不動産特有のデータ構造に最適化されておらず、独自のカスタマイズが必要です

コスト・拡張性の課題

急激なコスト増加: 無料版→Starter（月額1,800円）→Professional（月額96,000円、3シート含む）と、機能向上に伴うコスト増加が大きく、中小不動産会社には負担が重い場合があります
Professional導入支援の必須費用: Professionalプラン以上では必須の導入支援費用（36万円）が別途発生し、初期投資が高額になります
通貨・地域制限: HubSpot決済機能等は米国拠点の顧客のみ利用可能で、日本の不動産業務では利用できない機能があります

技術的・運用面の制約

オーバースペックのリスク: Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub等が統合されているため、不動産営業の基本業務には不要な機能が多く、シンプルな顧客管理を求める場合には複雑すぎる可能性があります

サポート・言語対応の制限

業界知識の不足: 汎用CRMのサポートチームは不動産業界特有の課題や商慣習に精通していない場合があります
日本語対応の課題: Breeze Agents等の新機能やベータ版機能は英語のみの提供となる場合があります

6. Ambassador Relations Tool

1万人まで永久無料で利用できるシンプルCRM/MAツール: Ambassador Relations Tool（ART）は、フリープラン（1万人まで無料）から段階的にスケールできるコストパフォーマンスに優れたCRM/MAツールです。有料版でも月額29,480円（3万人まで）から利用でき、初期費用は無料、最低利用期間は6ヶ月と導入しやすい料金体系を提供しています。高額な海外製ツールと比較して大幅なコスト削減を実現しながら、顧客管理、メール配信、MA、売上分析、レポート機能など必要な機能は全て搭載。個別カスタマイズにも対応しており、自社の業務フローに合わせた柔軟な運用が可能です。サーバ設置プランでは既存の顧客管理システムとの自動連動も可能で、大規模運用にも対応できます。

基本情報

費用: 無料版は0円、有料版は月額29,480円から
提供会社: 株式会社コンファクトリー
公式サイト: https://amb-r-t.jp/

（出典：Ambassador Relations Tool公式サイト）
（URL：https://amb-r-t.jp/）

不動産営業での具体的な活用メリット

顧客満足度調査: 契約後の満足度を測定し、紹介営業につなげる仕組みづくり
大容量データ管理: 最大10,000名の顧客管理で、長期的な顧客データベースを構築

導入時の注意点

無料版の機能制限

顧客数の制限: フリープランは1万人までの制限があり、大規模な不動産会社では早期に有料版（月額29,480円～）への移行が必要になります
メール送信制限: 1回あたり1万通までの制限があり、大量の見込み客への一斉配信には制約があります
個別カスタマイズ不可: フリープランでは個別カスタマイズができないため、不動産業務特有のニーズに合わせた機能追加ができません

不動産業界特化機能の限界

物件管理機能の不足: 顧客管理に特化したツールのため、物件情報管理、間取り図管理、価格変動履歴などの不動産特有の機能は標準搭載されていません
不動産ポータル連携の制約: SUUMO、HOME’S、アットホーム等の不動産ポータルサイトとの標準連携機能がありません。
契約管理機能の不足: 重要事項説明、媒介契約、売買契約等の不動産取引特有の契約管理機能は含まれていません。

運用面の制約

スケールアップ時のコスト増: クラウドプランで3万人を超えると自動的にクラウドBプラン（月額110,000円）に移行するため、急激なコスト増加の可能性があります。

機能面での制約

リアルタイム連携の限界: クラウドプランでは顧客情報の自動連動ができないため、既存システムとのデータ同期に手間がかかります
レポート機能の業界特化不足: 一般的な顧客分析機能は充実していますが、不動産業界特有の分析（エリア別成約率、物件タイプ別分析等）には対応していません。
モバイル対応の制約: 外出先での物件案内中の顧客対応において、モバイル専用アプリがないため操作性に制限があります。

サポート・拡張性の課題

業界知識の限界: 汎用CRMのため、不動産業界特有の法規制（宅建業法、重要事項説明等）への対応についてのサポートは限定的です。
第三者システム連携の制約: 不動産業界で一般的な基幹システム（レインズ、物件管理システム等）との連携には個別開発が必要になる場合があります。

7. Bitrix24

無制限ユーザーで永久無料利用できる統合ビジネスプラットフォーム: Bitrix24は、ユーザー数無制限で永久無料利用できる世界最大級の統合ビジネスプラットフォームです。オンラインワークスペース、CRM、タスク・プロジェクト管理、ウェブサイト作成、人事・RPA機能の5つの主要機能が1つのプラットフォームに統合されており、無料版でも本格的なビジネス運営が可能です。チャット・ビデオ通話、オンラインミーティング、社内掲示板、カレンダー、オンラインドキュメント、ドライブ、Webメールなど、リモートワークに必要な機能も完全無料で利用できます。世界1,500万組織に選ばれ、18言語で利用できるグローバルスタンダードなツールとして、現在利用中のすべてのSaaSソリューションの代替として最適です。

基本情報

費用: 無料版はユーザー数無制限、有料版は定額制（詳細は公式サイトでご確認ください）
提供会社: Bitrix Inc.
公式サイト: https://www.bitrix24.jp/

（出典：Bitrix24公式サイト）
（URL：https://www.bitrix24.jp/）

不動産営業での具体的な活用メリット

大規模チーム対応: 支店展開している不動産企業でも、全営業担当者が同一システムで情報共有
オンライン商談: コロナ禍で需要が高まった非対面での物件説明や契約手続きに対応

不動産業界での導入時の注意点

無料版の機能制限

ストレージ制限: 無料版では5GB制限があるため、物件写真や図面などの大容量ファイルを多数扱う不動産業務では容量不足になりやすいです。
統合機能の制限: 無料版では一部の高度な統合機能やカスタマイズオプションが制限されており、不動産業務特有のワークフローに合わせた設定に制約があります。

不動産業界特化機能の不足

物件管理機能の欠如: 汎用ビジネスプラットフォームのため、物件情報管理、間取り図管理、価格履歴、物件ステータス管理など不動産特有の機能は標準搭載されていません。
不動産ポータル連携の制約: SUUMO、HOME’S、アットホーム等の不動産ポータルサイトとの標準連携機能がなく、API連携には技術的な知識が必要です
契約管理機能の限界: 重要事項説明、媒介契約、売買契約等の不動産取引特有の契約管理機能や法定書類管理には対応していません

技術的・運用面の制約

多機能による複雑さ: オンラインワークスペース、CRM、プロジェクト管理、ウェブサイト作成、人事・RPA機能の5つの機能が統合されているため、不動産営業の基本業務には不要な機能が多く、操作が複雑になる可能性があります。
カスタマイズの技術的ハードル: 高度なカスタマイズにはAPI知識やプログラミングスキルが必要で、不動産業務に特化した設定には専門知識が必要になる場合があります。

サポート・言語対応の課題

業界特化サポートの不足: 汎用プラットフォームのため、不動産業界特有の法規制（宅建業法、重要事項説明等）や商慣習に関する専門的なサポートは期待できません。
日本語サポートの制限: 海外発のツールのため、一部の新機能や高度な設定について日本語での詳細なドキュメントやサポートが不足する場合があります。

セキュリティ・コンプライアンス面の懸念

データ保存場所の確認要: グローバルプラットフォームのため、顧客の個人情報や物件情報がどの国のデータセンターに保存されるかを確認し、日本の個人情報保護法や不動産業法の要件を満たすかの検証が必要です
第三者アプリ連携のリスク: 550種類以上のアプリ統合が可能な反面、連携先アプリのセキュリティレベルや個人情報の取り扱いについて個別に確認する必要があります。

機能面での制約

不動産特有の分析機能不足: エリア別成約率、物件タイプ別分析、価格動向分析など、不動産業界特有の分析機能は標準では提供されていません。
モバイル対応の限界: 外出先での物件案内中の顧客対応において、不動産業務に特化したモバイル機能（物件検索、図面表示等）には制限があります。

無料CRM導入時の「あるある」注意ポイント

無料の顧客管理ツールを導入する際、多くの不動産会社が直面する共通の課題があります。事前に把握しておくことで、導入後のトラブルを回避できます。

サポート面での「あるある」

無料版だと日本語サポートが受けられない

海外製ツールでは、無料版は英語サポートのみの場合が多い
緊急時の問い合わせで言語の壁に直面し、問題解決に時間がかかる
土日祝日勤務の不動産営業では、サポート時間の時差も影響

コミュニティ活用＝自己解決能力が求められる

無料版では公式サポートが限定的で、ユーザーコミュニティでの情報収集が必要
ITに不慣れな営業担当者には、技術的な質問の解決が困難
不動産業界特有の使い方について情報が少ない

運用面での「あるある」

設定できる人が辞めると、誰も触れなくなる

高度なカスタマイズ機能があるツールほど、設定者への依存度が高くなる
担当者の退職や異動で、システムの改修・追加設定ができなくなる
結果的に、せっかく導入したツールが形骸化してしまう

ユーザー数無制限でも、ストレージ容量で詰む

「無制限ユーザー」に魅力を感じて導入したが、実際はストレージ容量（5GB等）の制限で使えない
物件写真、図面、契約書類などの大容量ファイルですぐに上限に達する
結局、有料版への移行を余儀なくされる

機能面での「あるある」

多機能すぎて、営業が使いこなせない

CRM、プロジェクト管理、チャット、ウェブサイト作成など多機能だが、不動産営業には不要な機能が多い
操作が複雑で、ITに不慣れな営業担当者が敬遠してしまう
シンプルな顧客管理だけを求めていたのに、オーバースペックになる

不動産業界の「当たり前」に対応していない

物件管理、重要事項説明、媒介契約管理など、不動産特有の機能がない
SUUMO、HOME’S等のポータルサイトとの連携ができない
結果的に、既存の業務フローを大幅に変更する必要が生じる

コスト面での「あるある」

無料のはずが、結局お金がかかる

基本機能は無料だが、実用的な機能は有料オプション
ユーザー数やデータ容量の制限で、早期に有料版への移行が必要
「無料で始められる」という謳い文句に惹かれたが、実際は段階的にコストが発生

小さく始めたつもりが、移行コストで大変なことに

無料版で蓄積したデータの移行作業が想定以上に複雑
他システムへの乗り換え時に、データ形式の違いで苦労する
移行期間中の業務停止リスクを考慮していなかった

対策のポイント

これらの「あるある」を避けるためには：

導入前の要件整理: 不動産業務に本当に必要な機能を明確にする
段階的な導入計画: 無料版での検証期間と有料版移行のタイミングを事前に設定
複数担当者での運用: 特定の人に依存しない運用体制を構築
業界特化ツールとの比較: 汎用ツールと不動産特化ツールの両方を検討

無料CRMは営業DXの第一歩として有効ですが、これらの注意点を理解した上で、自社に最適なツール選択と運用計画を立てることが成功の鍵となります。

まとめ

不動産営業における顧客管理ツールは、長年の課題である営業活動の属人化解消と、反響営業での迅速な初回対応を実現する重要なソリューションです。今回ご紹介した7つの無料ツールは、それぞれ異なる特徴を持ち、CRM導入を検討している企業にとって営業DXの第一歩として有効な選択肢となります。

無料版選択時の重要なポイント

無料の顧客管理ツールを選ぶ際は、不動産営業に必要な基本機能の充実度、操作性とカスタマイズ性のバランス、セキュリティ対策の必須要件、データ制限と将来的な拡張性、同業他社の導入実績の5つの観点から比較検討することが重要です。

特に不動産業界では、物件写真や図面などの大容量ファイル管理、土日祝日勤務への対応、顧客の個人情報・資産情報の厳格な管理が求められるため、自社の営業規模や利用状況に合わせてデータ制限範囲を慎重に確認することをおすすめします。

無料版の限界と有料版移行の検討

ただし、顧客管理ツールを完全に無料で利用しようとすると、不動産業界特化機能の不足、営業チーム規模への対応限界、高度な分析・レポート機能の制限といった課題が残る可能性があります。たとえば不動産営業では「見込み客や優良物件を探すには経験が必要」であり、「テレアポや飛び込みがメイン」の営業手法において、追客プロセスの標準化と営業ノウハウの共有が成約率向上の鍵となります。

有料版移行の検討タイミング

本格的な営業改革を検討する際は、無料版での運用経験を踏まえ、より高度な管理機能が必要になった段階で有料版への移行を検討することが重要です。大量のリード情報を効率的に管理し、チーム全体での情報共有を実現するためには、より高度なSFA/CRM機能が必要になります。

次のステップ

もし、「新しく顧客管理ツールを導入しても現場で活用されないかも」「無料版だとサポート対応が不安」「総合的な営業DX戦略を検討したい」とお考えの方は、まずは無料版での小規模運用から始めて、段階的に機能拡張を図ることをおすすめします。

不動産業界特有の商慣習に対応し、長期的な顧客関係管理と営業プロセスの標準化を実現するためには、業界に精通したツール選択と運用体制の構築が成功の鍵となります。

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本記事で使用している専門用語集

本記事で使用している主な専門用語を、分かりやすく整理しました。パソコンやシステムに詳しくない方でも理解できるよう、身近な例えを交えて説明しています。

不動産営業の基本用語

反響営業: チラシや広告を見て問い合わせてきたお客様に対応する営業スタイル。昔の「飛び込み営業」（訪問して勧誘する方法）とは違い、興味を持ったお客様からの連絡に対応する方式です。（例：「SUUMOを見ました」という問い合わせへの対応）
追客: 一度問い合わせのあったお客様に再度連絡して、購入意欲を高めていく活動。（例：内見後に「検討します」と言われたお客様に3日後に電話で確認する）
内覧: お客様と一緒に実際の物件を見に行くこと。（例：マンションの間取りや日当たりを現地で確認する）
見込み客: 物件購入の可能性がある人。まだ契約には至っていないが、関心を示している人のこと。（例：資料請求をした人や内見予約をした人）
成約率: 内見した人のうち、実際に契約した人の割合。（例：10組のお客様に内見してもらい、2組が契約したら成約率は20%）
営業代行サービス: テレアポや飛び込み営業などの初期営業活動を外部の専門会社に委託するサービス。（例：テレアポ代行、展示会運営代行、飛び込み営業代行など）
テレアポ: 電話でアポイントメント（面談の約束）を取る営業手法。
レインズ: 不動産業界専用の物件情報ネットワークシステム。宅建業者だけが利用できる物件データベース。
重要事項説明: 不動産取引で法律上必要な説明事項。契約前に必ず行わなければならない。
媒介契約: 不動産の売買や賃貸の仲介を依頼する契約。
仲介手数料: 不動産取引の仲介に対して支払われる手数料。
手付金: 契約時に買主が売主に支払う金銭。契約成立の証拠として支払われる。

営業活動の課題用語

属人化: 特定の人だけが情報を持っている状態。その人がいないと対応できない問題。（例：「山田さんしか知らない情報」があり、山田さんが休みの日は対応できない）
情報の分散: 関連する情報が別々のファイルに保存されていて、つながっていない状態。（例：物件情報はAというExcelファイル、顧客情報はBというファイルに分かれている）
営業プロセスの標準化: 営業活動の手順やタイミングを統一すること。（例：問い合わせから24時間以内に初回連絡、内見後3日以内にフォロー電話など）
キーマンを見極める力: 家族での不動産購入において、実際の決定権を持つ人を特定する能力。
印象管理と信頼関係構築: お客様に良い印象を与え、信頼してもらうためのスキル。

顧客管理システムの基本用語

CRM: Customer Relationship Management（顧客関係管理）の略。お客様との関係を記録・管理するシステム。昔の「得意先台帳」をデジタル化し、より詳しくお客様情報を管理できるイメージ。
SFA: Sales Force Automation（営業支援システム）の略。営業マンの活動をサポートするコンピューターシステム。紙の手帳をデジタル化し、みんなで情報共有できるようにしたイメージ。
MA: Marketing Automation（マーケティング自動化）の略。見込み客を発掘し育てる活動を自動化するシステム。（例：自社サイトでよく物件を見ている人に自動的にメールを送る）
一元管理: 色々な情報を1か所にまとめて管理すること。「あっちのファイル、こっちのファイル」と探さなくてよくなる。
クラウド型: インターネットを通じてどこからでもアクセスできるコンピューターシステム。自社でサーバーを持たなくても使えるサービス。
オンプレミス: 自社内にサーバーを設置してシステムを運用する方式。クラウド型の対義語。

システム機能の専門用語

データ容量制限: システムに保存できる情報の量の上限。（例：無料版では1,000件の顧客情報まで、写真は5GBまでなど）
ユーザー数制限: システムを同時に使える人数の上限。（例：無料版では3人まで利用可能など）
API連携: 異なるシステム同士を自動的につなげる技術。（例：SUUMOからの問い合わせを自動的にCRMに取り込む）
カスタマイズ: 自社の業務に合わせてシステムの機能や画面を調整すること。（例：不動産特有の項目を追加する）
CTI: Computer Telephony Integration（電話とコンピューターの連携）の略。電話がかかってきたときに、自動的に顧客情報を画面に表示する機能。
ノーコード・ローコード: プログラミングの知識がなくても（ノーコード）、または少ない知識で（ローコード）システムをカスタマイズできる技術。
ドラッグ&ドロップ: マウスでアイコンなどを掴んで移動させる操作方法。直感的で簡単な操作ができる。
フィールド: データベースの項目のこと。（例：顧客名、電話番号、住所などの入力欄）
テンプレート: あらかじめ用意された雛形。（例：メールのテンプレート、契約書のテンプレートなど）

データ管理・分析用語

データ移行: 今まで使っていたExcelなどのデータを新しいシステムに移すこと。
CSVインポート/エクスポート: ExcelなどのデータをCSV形式でシステムに取り込んだり、システムからデータを取り出したりする機能。
バックアップ: 大切なデータを別の場所にコピーして保存すること。万が一の時に備える保険のようなもの。
セグメンテーション: 顧客を特徴別にグループ分けすること。（例：予算別、エリア別、家族構成別など）
RFM分析: 顧客の購入頻度（Frequency）、最新購入日（Recency）、購入金額（Monetary）で顧客を分析する手法。
デシル分析: 顧客を購買額の多い順に10等分して分析する手法。
ダッシュボード: 必要な情報が一目で分かる画面。車のメーターパネルのように、重要情報が集約されている。
BI: Business Intelligence（ビジネスインテリジェンス）の略。データを分析してビジネスの意思決定に役立てる仕組み。
KPI: Key Performance Indicator（重要業績評価指標）の略。目標達成度を測る重要な指標。

セキュリティ・権限管理用語

アクセス権限: システムの機能や情報を見たり変更したりできる範囲。（例：営業担当者は自分の顧客情報のみ編集可能）
データ暗号化: 情報を第三者に読めないように変換すること。郵便物を封筒に入れて送るのと同じ考え方。
個人情報保護法: 個人の情報を適切に管理することを定めた法律。不動産業では顧客の資産情報なども扱うため重要。
GDPR: EU（欧州連合）の個人データ保護規則。国際的なセキュリティ基準の一つ。
Active Directory: Microsoftが提供するユーザー管理システム。企業内でのアクセス権限を一元管理できる。

コスト・料金体系用語

初期費用: システム導入時に最初にかかる費用。（例：システム設定料、初期設定サポート料など）
月額利用料: システムを使うために毎月支払う費用。電気代や水道代のように継続的にかかるコスト。
ユーザー単位課金: 利用する人数に応じて料金が決まる仕組み。（例：1人あたり月額1,000円など）
定額制: 利用人数に関係なく、毎月一定の料金を支払う仕組み。
段階的なコスト増加: 機能を追加するたびに料金が上がっていく仕組み。最初は安くても、必要な機能を追加すると高額になる場合がある。
買い切り: 一度購入すれば継続的な料金が発生しない料金体系。
サーバ設置プラン: 自社内にサーバーを設置する有料プラン。高度なカスタマイズが可能。

サポート・運用用語

日本語サポート: 日本語で問い合わせや相談ができるサポート体制。海外製ツールでは英語のみの場合がある。
コミュニティサポート: 公式サポートではなく、ユーザー同士で情報交換して問題を解決する仕組み。
学習コスト: 新しいシステムを覚えるのにかかる時間や労力。複雑なシステムほど習得に時間がかかる。
オーバースペック: 必要以上に高機能で、実際の業務には使わない機能が多い状態。
AIチャットサポート: 人工知能が自動で質問に答えるサポート機能。24時間対応可能だが、複雑な質問には対応できない場合がある。
有人サポート: 実際の人間が対応するサポート。複雑な問題にも対応できるが、対応時間に制限がある場合が多い。

不動産ポータルサイト関連用語

SUUMO: 株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイト。
HOME’S: 株式会社LIFULLが運営する不動産ポータルサイト。
アットホーム: アットホーム株式会社が運営する不動産ポータルサイト。
ポータルサイト連携: 不動産ポータルサイトからの問い合わせを自動的にCRMに取り込む機能。

AI・自動化関連用語

CoPilot: AI搭載のアシスタント機能。様々な業務を自動化・支援する。
音声からテキストへのトランスクリプト: 通話内容を自動的に文字に変換する機能。
通話要約: 長い通話内容を要点だけまとめて表示する機能。
自動補完: 入力途中で候補を自動表示したり、関連情報を自動入力したりする機能。
リードスコアリング: 見込み客の購入可能性を点数化して評価する機能。
マーケティングオートメーション: 見込み客への営業活動を自動化する仕組み。

業界特有のシステム要件

物件マッチング: お客様の希望条件に合う物件を自動的に探し出す機能。
物件管理: 物件情報、間取り図、価格履歴などを管理する機能。
契約管理: 重要事項説明、媒介契約、売買契約などを管理する機能。
在庫管理: 販売可能な物件の在庫状況を管理する機能。
エリア別成約率: 地域ごとの契約成立率を分析する機能。
物件タイプ別分析: マンション、戸建て、土地などタイプ別の売れ行きを分析する機能。

モバイル・外出先対応用語

モバイル対応: スマートフォンやタブレットでシステムを利用できること。
レスポンシブデザイン: 画面サイズに応じて自動的に表示が調整されるウェブサイトの設計。
リアルタイム更新: 情報の変更が即座に全ユーザーに反映される機能。
外出先アクセス: 事務所以外の場所からでもシステムにアクセスできる機能。

こんなときはどうする？（実践的なガイド）

「システムを使いこなせるか不安」というとき: 不動産業界向けの専用システムを選ぶと、業界の言葉や流れに合わせた画面設計になっているので覚えやすい。
「無料版の制限に引っかかりそう」というとき: データ容量やユーザー数の制限を事前に確認し、成長に合わせた移行計画を立てておく。
「サポートが不安」というとき: 日本語サポートの有無、サポート時間、緊急時の対応方法を事前に確認する。
「コストが予想以上にかかりそう」というとき: 段階的導入で必要最小限の機能から始め、効果を確認してから機能拡張を検討する。

注：この用語集は、ITに詳しくない方でも理解できるよう、専門用語をできるだけ平易な言葉で説明しています。実際のシステム導入にあたっては、専門家のアドバイスも参考にしてください。

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