免責事項

記載されている情報は執筆時点のものであり、最新情報は各ツールの公式サイトでご確認ください。

はじめに

「物件の写真が古い」「内見予約の日程調整が煩雑」「お客様の予算や希望条件の履歴が追えない」──

不動産業界の営業現場では、このような課題を日々抱えていませんか？特に、物件情報や顧客データをホワイトボードや紙のファイルで管理している企業では、重要な商談機会を逃したり、顧客満足度が低下したりするリスクが高まっています。

不動産業界特有の課題

不動産営業の現場では、以下のような業界特有の課題が山積しています：

課題一覧

反響対応の遅れ：物件情報サイトからの問い合わせに対して、タイムリーな返信ができない
商談履歴の属人化：ベテラン営業の経験やノウハウが個人に紐づいてしまう
非効率な追客管理：過去の問い合わせ客へのフォローアップが後回しになる
アナログな業務プロセス：ホワイトボードや紙の管理表が現役で、情報共有に時間がかかる

これらの課題は、適切なツールの導入とデジタル化によって、大きく改善することが可能です。

この記事で得られる知識

記事のポイント

不動産営業DXの必要性と具体的なメリット
CRM（顧客管理システム）/SFA（営業支援システム）の活用方法
導入企業の成功事例と具体的な効果
不動産業界向けおすすめツール14選の紹介

本記事では、これらの知識を実践的な視点から、具体例を交えてご紹介していきます。

対象読者

不動産業界でDX化を推進する立場にある方々に、特にお読みいただきたい内容となっています。

想定読者

不動産会社の経営層、営業管理職の方
営業DX推進を検討されている方
営業現場の生産性向上を目指す方
SFA/CRM/MA（マーケティングオートメーション）の導入を検討中の方

これから解説する内容は、御社の営業改革の具体的なヒントとなるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。

SFAとCRMを兼ね備えた国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」
SFAとCRMを兼ね備えた、定着率99% 国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」

なぜ今、不動産営業のDXが必要なのか

不動産業界全体のDX化は、他業界と比較して大きく出遅れています。独立行政法人情報処理推進機構（IPA）が2024年に発表した「DX動向2024」によれば、金融業（97.2%）や製造業（77.0%）が高い取り組み率を示す一方で、サービス業全体のDX化の取り組みは60.1%にとどまっています。特に中小規模（100人規模）の不動産企業では、「DXに取り組むための知識や情報が不足している」（59.0%）、「自社がDXに取り組むメリットがわからない」（43.6%）といった課題が顕著となっています。

出典：IPA「DX動向2024」

業界特有の課題

不動産業界には、長年にわたって積み重ねられてきた独自の商習慣や課題が存在します：

主な課題

アナログな商習慣: 紙ベースでの情報管理や対面を重視した営業スタイルが依然として主流であり、業務効率化の妨げとなっています。
データの非効率な管理: 物件情報や顧客データが各担当者や部署で個別に管理され、情報の一元化が進んでいない状況です。
営業活動の属人化: 優良物件の発掘や見込み客の獲得には個々の営業担当者の経験やスキルに依存する部分が大きく、ノウハウの共有や標準化が困難です。
顧客ニーズの多様化: 物件探しのオンライン化や、より詳細な情報提供への要望など、顧客の期待が急速に変化しています。
競争環境の変化: テクノロジーを活用した新規参入企業の増加により、従来の営業手法だけでは競争力を維持できなくなっています。

これらの課題は、業界全体としてDX化を推進することで解決できる可能性を秘めています。特に、データの活用やデジタルツールの導入により、業務効率の向上だけでなく、新たな価値創造にもつながることが期待されています。

不動産業界におけるテレワークの浸透

このような課題を抱える一方で、不動産業界は意外にもテレワークの導入に積極的です。令和6年6月7日に発表された総務省の「令和5年通信利用動向調査」によると、不動産業におけるテレワーク導入率は75.1%に達しており、これは他業界と比較しても高い水準となっています。

テレワーク導入の目的と効果

感染症対策としての事業継続性の確保
営業担当者の移動時間削減による業務効率の向上
従業員のワークライフバランス改善による満足度向上

特筆すべきは、この取り組みが単なる一時的な対応策ではなく、多様な働き方への対応や離職率の低下、さらにはSDGsへの貢献といった、より広範な経営課題の解決にもつながっている点です。

出典：総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」

営業DX化の重要性と競争力の維持

このように、不動産業界は営業DX化との親和性が高く、既に多くの企業がデジタル化による業務改革を進めています。しかしながら、市場全体を見渡すと、本格的な営業DX化の実現にはまだ道半ばと言えます。多くの企業が部分的なデジタル化にとどまっており、業務プロセス全体を見据えた抜本的な改革には至っていないのが現状です。

先進的な取り組みを行っている企業では、以下のような具体的な成果が表れ始めています：

1. 営業活動の効率化と質の向上

物件情報のリアルタイム更新と共有により、タイムリーな提案が可能に
営業担当者間での情報連携が強化され、組織全体の対応力が向上
AIによる物件レコメンドで、顧客ニーズとのマッチング精度が向上

2. 業務プロセスの改革

契約書類のデジタル化による作業時間の大幅削減
クラウドベースの管理システムによる情報の一元化
ペーパーレス化によるコスト削減と環境負荷の低減

3. 顧客体験の革新

バーチャル内見による物件下見の効率化
オンライン商談の導入による顧客の移動負担軽減
デジタルツールを活用したきめ細かな進捗管理と情報提供

これらの改善効果は、単なる業務効率化にとどまらず、従業員の働き方改革や顧客満足度の向上にも直結しています。実際に、DX化を推進している企業では、社員の定着率向上や新規顧客の獲得率向上といった具体的な経営指標の改善も報告されています。

一方で、DX化に着手していない企業は、急速に競争力を失いつつあります。特に、デジタルネイティブ世代の顧客や従業員が増加する中、従来型の営業スタイルだけでは、市場ニーズへの対応が困難になってきています。つまり、営業DX化は、もはや企業の持続的な成長と競争力維持のための必須要件となっているのです。

スケジュール管理から見直す、CRM/SFAで実現する不動産営業改革

「内見の予約が重なってしまった」「更新の案内を出し忘れた」「商談履歴が共有できていなかった」──

不動産営業の現場では、このような課題に日々直面していませんか？これまで多くの企業がホワイトボードや紙の手帳で管理してきた予定も、適切なツールを活用することで、より確実でスムーズな管理が可能になります。

まずは基礎知識：CRMとSFAって何？

営業DXを語る上で避けては通れない2つの重要なキーワードがあります。

CRM（Customer Relationship Management：顧客関係管理）とは？

顧客との関係を管理するためのシステム
顧客の基本情報を一元管理
問い合わせ履歴やニーズを記録
契約状況や対応履歴を追跡
不動産業界特有の情報（内見履歴、希望条件など）も管理可能

SFA（Sales Force Automation：営業支援システム）とは？

営業活動を効率化・自動化するシステム
商談の進捗状況をリアルタイムで把握
案件管理や活動記録を一元化
営業プロセスを標準化
物件案内から契約までの流れを体系的に管理

なぜ今、スケジュール管理が重要なのか

不動産営業の特徴は、一人の営業担当者が同時に複数の案件を抱えることにあります。新規の内見予約対応をしながら、既存顧客の更新時期管理も行い、さらには新規物件の情報収集も欠かせません。

特に賃貸物件の場合、更新時期の管理は収益に直結する重要な業務です。更新案内の送付が遅れたり、タイミングを逃したりすることは、事業者としての信頼性にも関わる重大な問題となりかねません。

また、不動産営業では「今」がとても重要です。お客様からの内見のご要望に素早く対応できるかどうかが、成約率を大きく左右します。そのためには、物件の空き状況や鍵の保管状況、他のお客様との予約状況など、様々な情報をリアルタイムで把握し、適切にスケジュール管理を行う必要があります。

CRM/SFAによるスケジュール管理で何が変わるのか

スケジュール管理のデジタル化は、単なる予定管理の効率化にとどまりません。CRM/SFAの導入により、営業現場では以下のような大きな変化が期待できます。

1. 知識・ノウハウの共有と標準化

商談履歴や接客ノウハウがデータとして蓄積
成功事例や効果的な営業トークの共有が容易に
マニュアルや提案資料をクラウドで一元管理
新人教育や引き継ぎがスムーズに

2. チーム全体の可視化と効率化

営業活動の進捗状況をリアルタイムで把握
メンバー間の業務量の偏りを早期発見
急な人事異動や退職にも迅速に対応可能
チーム全体のパフォーマンスを数値化

3. 過去データの有効活用

失注案件の履歴から改善点を分析
季節変動やトレンドの把握が容易に
顧客の検討状況や要望の変化を追跡
次回商談や新規開拓に活用可能

4. 業務の属人化からの脱却

個人の経験やスキルに依存しない営業体制の構築
標準的な業務フローの確立
誰でも同じレベルのサービス提供が可能に
突発的な人員変更にも対応可能

たとえば、お客様から内見のご要望をいただいた際、従来であれば「一度事務所に戻って予定を確認します」という対応が必要でした。しかし、CRM/SFAを導入することで、その場でスマートフォンから空き状況を確認し、即座に予約を確定することができます。さらに、過去の内見履歴や要望事項もすぐに確認できるため、より的確な物件提案が可能になります。

また、契約更新の管理も格段に楽になります。更新時期が近づくと自動でリマインドが届き、営業担当者は適切なタイミングで更新案内を送付できます。過去の更新時の交渉経緯や条件変更の履歴なども確認できるため、スムーズな更新手続きが可能になります。

現場で実感できる具体的なメリット

スケジュール管理をデジタル化することで、営業現場では目に見える形で業務改善が進みます。

まず、チーム全体でのリアルタイムな情報共有が実現します。例えば、Aさんが入れた内見予約をBさんがその場で確認できるため、同じ物件に対する予約の重複を防げます。また、急なお客様の予定変更にも、空き状況を即座に確認して柔軟に対応できるようになります。

特に効果を発揮するのが、引き継ぎ業務です。従来であれば、担当者の退職や異動の際に詳細な引き継ぎ資料を作成する必要がありましたが、日々の活動記録がシステムに蓄積されているため、新担当者はスムーズに業務を引き継ぐことができます。お客様との関係性も途切れることなく、継続的なサービス提供が可能になります。

導入時の注意点とコツ

ただし、CRM/SFAの導入には戦略的なアプローチが必要です。

1. 段階的な導入がカギ

まずは最も困っている業務から着手
基本的な機能から徐々に拡張
現場のフィードバックを積極的に収集
必要に応じて運用ルールを調整

2. データ入力の習慣化

毎日の業務の中で無理なく記録できる仕組みづくり
モバイル端末での入力を活用
入力項目は必要最小限にとどめる
入力負荷と活用メリットのバランスを重視

このように段階的なアプローチと現場の理解・協力を得ながら進めることで、スムーズな導入と定着が実現できます。焦らず、着実に、そして現場の声に耳を傾けながら進めていくことが、成功への近道となるでしょう。

これからのスケジュール管理

不動産業界を取り巻く環境は急速に変化しています。オンライン内見の普及や、リモートワークの一般化により、より柔軟な働き方が求められています。そんな中、CRM/SFAを活用したスケジュール管理は、以下のような未来の営業スタイルを支える基盤となります：

未来の営業スタイル

場所を問わない業務遂行
リアルタイムな情報共有と意思決定
データに基づく戦略的な営業活動
働き方改革への対応

デジタル化の波は、もはや選択肢ではなく必須の潮流となっています。この変化に適応し、新しい営業スタイルを確立できた企業が、これからの不動産業界をリードしていくことになるでしょう。

ここまでのまとめ：デジタル化がもたらす新しい営業スタイル

CRM/SFAの導入は、単なる業務効率化にとどまりません。それは、不動産営業の在り方そのものを進化させる可能性を秘めています。

期待される効果

より正確で迅速な顧客対応
チーム全体の生産性向上
戦略的な営業活動の実現
持続可能な組織づくり

次章は、実際のCRM/SFA導入事例や、具体的なツールの選定方法について詳しく解説していきます。皆様の営業現場のデジタル化の参考になれば幸いです。

SFAとCRMを兼ね備えた国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」
SFAとCRMを兼ね備えた、定着率99% 国産営業管理ツール「GENIEE SFA/CRM（ちきゅう）」

おすすめCRM/SFA 14選

ここからは不動産業界に向いている CRM（Customer Relationship Management：顧客関係管理）/SFA（Sales Force Automation：営業支援システム）をご紹介します。

本章では、不動産業界での活用実績が豊富なツールについて、特にAI機能の実装状況を重視して解説します。

※最新の情報と価格は、それぞれの公式サイトでご確認ください。

4.1 MA/CRM/SFAツール選定の基本的な考え方

基本機能の共通性

現在主要なMA/CRM/SFAツールでは、以下の基本機能はほぼ標準装備されています：

基本機能一覧

顧客情報管理機能
物件情報管理機能
商談進捗管理
反響管理機能
レポート作成・分析機能
モバイル対応

機能実現方法の違い

各ツールの違いは、主に「標準機能として搭載」「プラグインやアドオンでの提供」「ポータルサイトとの連携」「カスタマイズによる実装」の点に表れます。

特に重要度の高い機能については：

検討の優先順位

1. 標準機能として搭載されているか
2. 同じベンダーが提供する連携ツールがあるか
3. ベンダーが公式にサポートする連携オプションがあるか

という順序で検討することをお勧めします。一元的な窓口でのサポートは、導入後の安定運用において大きなメリットとなります。

4.2 なぜAI?これからの不動産業界におけるAI機能の重要性

不動産業界において、AI機能は以下の3つの領域で業務改善に大きく貢献します：

1. コミュニケーション効率向上

具体例：内見時の会話をAIが自動記録

内見中の会話：
お客様「日当たりはいいですね。でも、キッチンが少し狭いかな...」
↓
AI要約：
・日当たり → 好評価
・キッチン → 改善要望あり
→ 次回提案：キッチンスペースに余裕のある物件を優先

2. マッチング精度向上

具体例：AIによる物件レコメンド

顧客の希望条件：
「2LDK、駅徒歩10分以内、日当たり重視、予算3,000万円」
↓
AI分析：
・過去の成約事例と照合
・エリアの相場変動を考慮
・類似条件での成約率を分析
→ 優先順位付きで最適な物件を提案

3. 業務の自動化・効率化

具体例：反響メール対応の自動化

深夜の問い合わせメール：
「物件の内見を希望します。土日で可能でしょうか？」
↓
AIの対応：
・自動返信で受付確認
・内見予約フォームのURLを送信
・担当者へ優先度付きで通知
→ 翌営業日の最優先タスクとして設定

AI機能導入のポイント

AI機能は、不動産営業の現場で発生する様々な課題を解決し、業務効率と顧客満足度の向上を同時に実現します。導入にあたっては、基本的な自動化機能から段階的に始めることが重要です。特に重要なのは、AIを「人の仕事を奪うもの」ではなく、「人がより価値の高い業務に集中するための支援ツール」として位置づけることです。

4.3 主要MA/CRM/SFAツールの比較

不動産業界で活用されている主要なMA/CRM/SFAツール14製品について、基本機能、AI機能、価格帯などの観点から分類してご紹介します。統合型プラットフォームから特化型ツールまで、幅広い選択肢の中から、自社に最適なツール選定の一助となれば幸いです。

なお、各ツールは以下のカテゴリーに分類して紹介します：

統合型プラットフォーム（7製品）

主要製品一覧

1. GENIEE SFA/CRM
2. Salesforce Real Estate Cloud
3. HubSpot CRM
4. eセールスマネージャーRemix Cloud
5. kintone
6. Microsoft Dynamics 365 Sales
7. Zoho CRM

不動産業界特化型（3製品）

特化型製品一覧

1. ES-B2B
2. いえらぶCLOUD
3. リアプロ

ポータル連携型CRM（1製品）

連携型製品

1. ATBB顧客管理

SFA特化型（1製品）

SFA製品

1. KASIKA

地図機能SFA特化型（2製品）

地図機能特化製品

1. cyzen（サイゼン）
2. UPWARD（アップワード）

※掲載している情報は執筆時点のものです。最新の機能や価格については、各ツールの公式サイトにてご確認ください。

■統合型プラットフォーム（MA+CRM+SFA）

まず最初に、マーケティング機能（MA）、顧客管理（CRM）、営業支援（SFA）の全機能を備えた統合型プラットフォームをご紹介します。これらは、スケジュール管理のみならず、不動産業務の全体最適化を目指す企業に適しています。

1.
GENIEE SFA/CRM

[公式サイト]

機能分類

MA + CRM + SFA

AI機能

AIアシスタントオプションを標準搭載
グループ会社のJAPAN AIとの連携可能
AIによるマッチング精度向上
商談音声データから内容の自動要約と文字起こし
次のアクション提案
物件推薦度スコアリング

※AI機能はオプションで、全プランで安価に追加可能

一言解説: 国産ツールならではの使いやすさで、高い定着率を誇る。名刺管理機能（人脈管理）、地図連携などを標準機能で用意しており不動産業界向けのカスタマイズも可能で、特に中小規模の不動産会社での使いやすさに定評がある。200名以上のエンジニアによる手厚いカスタマイズ対応も強み。「GENIEE MA」や「GENIEE CHAT」などの関連製品も提供されており、機能拡張が容易です。

2.
Salesforce Real Estate Cloud

[公式サイト]

機能分類

MA + CRM + SFA

AI機能

Einstein AIによる予測分析
自動データ分析
行動推奨機能
生成AI活用の商談支援
物件レコメンデーション

※Unlimitedプラン以上で利用可能

一言解説: 世界的に高いシェアを持つCRMプラットフォーム。不動産業界向けのカスタマイズ事例も豊富で、大規模な不動産企業での導入実績が多い。グローバル展開している企業との相性が良く、多言語対応も充実。

3.
HubSpot CRM

[公式サイト]

機能分類

MA + CRM + SFA

AI機能

AIアシスタント「Breeze Copilot」を提供
予測分析機能
メール文面の最適化提案
顧客対応優先度判定
コンテンツ最適化支援

一言解説: マーケティングツールとの統合が強みで、物件集客から顧客管理まで一貫した運用が可能。サポートが簡易化されるが無料プランでも十分な機能があり、Web経由の顧客獲得に注力する不動産企業に適している。

4.3 主要MA/CRM/SFAツールの比較

不動産業界で活用されている主要なMA/CRM/SFAツール14製品について、基本機能、AI機能、価格帯などの観点から分類してご紹介します。統合型プラットフォームから特化型ツールまで、幅広い選択肢の中から、自社に最適なツール選定の一助となれば幸いです。

なお、各ツールは以下のカテゴリーに分類して紹介します：

統合型プラットフォーム（7製品）

主要製品一覧

1. GENIEE SFA/CRM
2. Salesforce Real Estate Cloud
3. HubSpot CRM
4. eセールスマネージャーRemix Cloud
5. kintone
6. Microsoft Dynamics 365 Sales
7. Zoho CRM

不動産業界特化型（3製品）

特化型製品一覧

1. いい生活賃貸クラウド（ES-B2B）
2. いえらぶCLOUD
3. リアプロ

ポータル連携型CRM（1製品）

連携型製品

1. ATBB顧客管理

SFA特化型（1製品）

SFA製品

1. KASIKA

地図機能SFA特化型（2製品）

地図機能特化製品

1. cyzen（サイゼン）
2. UPWARD（アップワード）

※掲載している情報は執筆時点のものです。最新の機能や価格については、各ツールの公式サイトにてご確認ください。

4.
eセールスマネージャーRemix Cloud

[公式サイト]

機能分類

SFA + CRM

AI機能

AI商談分析
音声認識による商談記録
営業活動提案
物件提案最適化

※AI機能はオプションで、全プランで安価に追加可能

地図連携

物件所在地の地図表示
周辺施設情報との連携
エリアマーケティング機能

一言解説: 国内不動産業界での導入実績が豊富で、日本の不動産営業の商習慣に合わせた機能が標準で利用可能。特に物件管理や契約更新の通知機能が充実しており、既存顧客のフォローに強み。中小規模の不動産会社でも導入しやすい価格帯が特徴。

5.
kintone

[公式サイト]

機能分類

CRM + SFA（MAは連携パートナー経由）

AI機能

AIによる業務フォロー（kintone AIアシスタントβ版（※仮称））
チャットボット連携
自然言語による検索など、意味を解釈しての検索結果
文字生成

※プラグインで実装可能

一言解説: カスタマイズ性の高さが特徴で、不動産業務に合わせた柔軟なシステム構築が可能。ノーコードでの開発環境を提供し、現場での迅速な改善に対応。グループウェア機能との統合も強み。

6.
Microsoft Dynamics 365 Sales

[公式サイト]

機能分類

MA + CRM + SFA

AI機能

Copilot in Dynamics 365による支援
文書作成支援
商談分析
予測分析
カスタマーインサイト

※Enterprise版から使用可能

一言解説: Microsoft製品との高い親和性が特徴で、Teams連携による商談管理や記録の自動化が可能。特にグローバル展開している不動産企業での導入実績が豊富。

7.
Zoho CRM

[公式サイト]

機能分類

MA + CRM + SFA

AI機能

Zia AIによる業務支援
商談分析・予測
メール応答の自動化
おすすめ商品のレコメンド
顧客スコアリング

一言解説: コストパフォーマンスに優れ、中小規模の不動産会社での導入に適している。AI機能も充実しており、特に顧客対応プロセスの自動化に強み。

以上が主要な統合型プラットフォームの比較となります。導入検討の際は、自社の規模や業務フローに合わせて、必要な機能と予算のバランスを考慮することが重要です。

■不動産業界特化型

1.
いい生活賃貸クラウド（ES-B2B）

[公式サイト]

機能分類

CRM + SFA

AI機能

AIによる物件情報の自動入力補助
物件評点機能による広告効果の最適化
セールスポイントの自動生成
リアルタイムでの物件情報共有

一言解説

賃貸物件の広告業務を効率化するクラウドサービス。物件情報の一括登録や更新が可能で、AI機能を活用した自動化により、業務の手間を大幅に削減。マルチデバイス対応で、現地での情報登録もスムーズに行えます。また、広告作成やメンテナンスの効率化により、迅速な反響獲得を支援します。

2.
いえらぶCLOUD

[公式サイト]

機能分類

CRM + SFA

AI機能

生成AI「Claude」によるコンテンツ自動生成
AI物件レコメンド機能
反響自動振分
顧客対応履歴分析
成約予測

一言解説

賃貸仲介特化型の統合システムで、最新の生成AI「Claude」を活用したコンテンツ生成機能を搭載。物件情報の自動生成や顧客対応の効率化を実現し、反響対応から契約までの一貫した管理が可能。使いやすさと高いカスタマイズ性が特徴で、業務の効率化を支援します。

3.
リアプロ

[公式サイト]

機能分類

CRM + SFA

AI機能

無し

一言解説

不動産業界向けのCRMシステムで、元付け情報のみを取り扱う賃貸物件の管理を効率化。物件情報の一括登録や更新が可能で、業務の手間を大幅に削減します。使いやすいインターフェースと、迅速な情報共有により、営業活動の効率化を支援します。

CRM/SFA統合型ツールは、顧客対応から成約までの一連のプロセスを効率化し、営業力の強化を支援します。

■ポータル連携型CRM

不動産ポータルサイトとの連携に特化したCRMは、Web経由の問い合わせ対応を重視する企業に最適です。

1.
ATBB顧客管理

[公式サイト]

機能分類

CRM

AI機能

無し

一言解説

アットホームが提供する不動産会社向け顧客管理システムです。反響メールからの顧客情報の自動取り込み、自動返信メール機能、物件情報の自動配信など、業務効率化機能を搭載。顧客情報の一元管理と名寄せ機能により重複データを防ぎ、対応履歴の管理や営業進捗の把握もスムーズに行えます。

■SFA特化型

営業活動の効率化に特化したSFAツールは、特に対面営業を重視する不動産企業に有効です。

1.
KASIKA

[公式サイト]

機能分類

CRM + MA（マーケティングオートメーション）

AI機能

AI査定自動追客メール
AIチャットボット　ChatPlusと連携

一言解説

Cocolive社が提供する住宅・不動産業界特化型の顧客管理・自動追客システムです。反響メールからの顧客情報自動取込、自動追客メール配信、LINE連携など豊富な自動化機能を搭載。専任コンサルタントによる手厚い運用支援体制も特徴。

■地図機能SFA特化型

1.
cyzen（サイゼン）

[公式サイト]

機能分類

地図SFA特化型

AI機能

サイト内で情報が特になし

地図連携

リアルタイムGPS連携
物件巡回ルート最適化
エリアマーケティング機能
周辺相場分析

一言解説

地図連携に特化したSFAで、位置情報を元に営業担当者の行動管理や物件案内の動線最適化に強み。不動産営業における物件案内や内見予約などの訪問型営業において、効率的なルート設計や実績管理が可能。ただし、物件管理や契約管理などの業界特有機能は別途カスタマイズが必要。

2.
UPWARD（アップワード）

[公式サイト]

機能分類

SFA + 地図連携

AI機能

UPWARD INSIGHT（物件分析）
内見予約最適化
物件案内優先度判定
ルート最適化AI

※価格はお問い合わせ

地図連携

高精度GPS連携
営業活動動態管理
商圏分析機能
物件周辺施設分析

一言解説

地図情報を活用した不動産営業活動の効率化に特化したツールでCRM（Salesforce）等とセットで使用。位置情報を元に物件案内や内見における行動把握や計画立案を支援し、営業担当者の移動時間の最適化が可能。不動産営業での活用事例も多く、特に複数物件の内見予約管理や案内ルート最適化に強みを持つ。エリアマーケティングや商圏分析など、不動産特有の分析機能も充実している。

4.4 ツール選定時の総合的な判断ポイント

ツール選定の際は、以下の3つの観点から総合的に判断することが重要です：

1. 業務フィットの度合い

自社の営業スタイルとの適合性
必要な機能の標準搭載状況
カスタマイズの必要性と範囲

2. コストパフォーマンス

初期導入コスト
月額利用料と追加オプション費用
保守・運用にかかる人的コスト

3. 将来的な拡張性

AI機能の充実度と今後の開発ロードマップ
他システムとの連携可能性
アップデート頻度と新機能の追加状況

これらの要素を総合的に評価し、自社に最適なツールを選定することが、成功への近道となります。

まとめ

不動産営業DXの新時代へ

本稿では、14種類のCRM/SFAツールを比較しながら、不動産業界におけるDXの重要性と具体的な導入方法について解説してきました。2025年現在、多くの不動産企業がデジタル化への移行を進めていますが、その取り組み方は企業規模や業態、顧客層によって大きく異なります。ホワイトボードや紙の管理から一気にAI活用まで進める企業もあれば、基本的なスケジュール管理の電子化から慎重に始める企業もあります。どちらが正解というわけではなく、自社の状況に合わせた最適な進め方を選択することが重要です。

成功のための3つのステップ

営業DXの推進において、一足飛びに理想の状態を目指すのではなく、段階的なアプローチを取ることで、より確実な成功への道筋が見えてきます。以下の3つのステップは、あくまでも参考としていただき、自社のペースで進めていくことをお勧めします。

1. デジタル化の基盤づくり

基本的なスケジュール管理ツールの導入から始める
社内での情報共有ルールの確立
段階的なペーパーレス化の推進

2. データ活用の高度化

顧客情報のデジタル化と一元管理
AIによる商談分析と提案力の強化
営業活動の可視化とKPI管理

3. 組織全体の変革

デジタルツールを活用した新しい営業スタイルの確立
若手からベテランまで、全社員のデジタルリテラシー向上
リモートワークにも対応した柔軟な働き方の実現

はい、同じ基準で続けます：

具体的なアクションプラン

アクションプランを実行する際は、「早く進めること」よりも「確実に定着させること」を重視しましょう。以下の期間はあくまでも目安であり、各社の状況に応じて柔軟に調整することが重要です。

短期的な取り組み（目安：3ヶ月以内）

CRM/SFAツールの選定と導入
基本的な操作研修の実施
既存データの移行計画の策定

中期的な取り組み（目安：6ヶ月から1年）

AI機能の段階的な活用開始
業務プロセスの最適化
データ分析に基づく営業戦略の立案

長期的な取り組み（目安：1年以上）

デジタル化による新規ビジネスモデルの創出
顧客体験（CX）の革新
業界標準となるDXモデルの確立

同じ不動産業界でも、同じビジネスモデルでも、まったく同じ会社は一つとしてありません。地域性、取扱物件、顧客層、社員の年齢構成など、それぞれの企業が持つ独自の特徴があります。そのため、DX推進においても、他社の成功事例をそのまま真似るのではなく、自社の特徴や課題に合わせてカスタマイズしていく必要があります。

スピードを追い求めるあまり、現場に混乱を招いたり、従来の強みを失ったりすることは避けなければなりません。メンバーの理解度や業務の特性を考慮しながら、会社に確実に定着する運用を心がけ、必要に応じて軌道修正を行いながら進めていくことが、成功への近道となるでしょう。

最後に：デジタル化は手段であって目的ではない

重要なのは、単にツールを導入することではありません。デジタル化によって、以下の本質的な価値を創出することが真の目的です：

顧客満足度の向上: より迅速で正確な対応の実現
従業員満足度の向上: 働きやすい環境の整備
企業価値の向上: 競争力の強化と持続的な成長

不動産業界は、人々の暮らしや企業活動の基盤を支える重要な役割を担っています。そして今、私たちは大きな変革期を迎えています。デジタル化という波は、単なる業務効率化のツールではなく、不動産業界全体のサービス品質を向上させ、新たな価値を創造するチャンスをもたらしています。

しかし、この変革を成功に導くためには、「デジタル化ありき」の姿勢ではなく、常に「顧客にとっての価値は何か」「従業員の働きがいにつながるか」という本質的な問いかけが必要です。最新のAI技術やデジタルツールは、あくまでもその実現のための手段であり、目的ではありません。

一つひとつの不動産取引には、お客様の大切な想いが込められています。その想いに、より確実に、より丁寧に応えていくために、デジタル技術を賢く活用していく。そんな未来に向けて、まずは自社に合った一歩を、確実に踏み出していただければ幸いです。

不動産業界営業DX関連用語集

本記事で使用している主な専門用語を、カテゴリー別に整理しました。検討する際の参考としてご活用ください。

マーケティング/DX用語

AI（Artificial Intelligence）: 人工知能。データ分析や自動化による業務効率化を実現。
API連携: 異なるシステム間でのデータ連携を可能にする技術仕様。
CRM（Customer Relationship Management）: 顧客との関係性を管理・強化するためのシステムや手法。
DX（Digital Transformation）: デジタル技術を活用した業務改革や事業変革。
KPI（Key Performance Indicator）: 目標達成度を評価するための重要な指標。
MA（Marketing Automation）: マーケティング活動の自動化ツール。
SFA（Sales Force Automation）: 営業活動を支援・効率化するシステム。
データマイグレーション: 既存システムから新システムへのデータ移行作業。
ノーコード: 専門知識不要で業務アプリケーションを作成できる開発手法。
レコメンド: ユーザーの行動履歴などを基に最適な提案を行う機能。

不動産業界用語

オンライン内見: インターネットを通じた物件内部の確認システム。
元付け情報: 物件所有者から直接取得した賃貸・売買情報。
反響管理: 物件への問い合わせ対応の一元管理。
物件評点: 物件の価値や競争力を数値化した指標。
追客管理: 見込み客へのフォローアップ活動の管理。
内見予約: 物件の下見アポイントの調整・管理。
名寄せ: 同一顧客の重複データを統合する作業。
物件マッチング: 顧客ニーズと物件情報の最適な組み合わせ。
更新管理: 賃貸契約の更新時期や条件の管理。
商圏分析: 物件周辺の立地環境や市場性の分析。

免責

記載されている情報は執筆時点のものであり、最新情報は各ツールの公式サイトでご確認ください。

統合型プラットフォーム

GENIEE SFA/CRM: 公式サイト
Salesforce Real Estate Cloud: 公式サイト
HubSpot CRM: 公式サイト
eセールスマネージャーRemix Cloud: 公式サイト
kintone: 公式サイト
Microsoft Dynamics 365 Sales: 公式サイト
Zoho CRM: 公式サイト

不動産業界特化型

いい生活賃貸クラウド（ES-B2B）: 公式サイト
いえらぶCLOUD: 公式サイト
リアプロ: 公式サイト

ポータル連携型CRM

ATBB顧客管理: 公式サイト

SFA特化型

KASIKA: 公式サイト

地図機能SFA特化型

cyzen（サイゼン）: 公式サイト
UPWARD（アップワード）: 公式サイト

※ 各ツールの機能や価格は予告なく変更される可能性があります。導入検討の際は、必ず各ベンダーの最新情報をご確認ください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のツールやサービスを推奨するものではありません。ツールの選定は、貴社の具体的なニーズや要件に基づいて行ってください。

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